特集シリーズ「今日も元気で」 2026年11月1日 vol.27

手にとるあなたもボランティア 〜手作りでつむぐ福祉の輪〜

手芸好きの仲間が集う、手作りボランティア。市民から寄せられた布や毛糸が、帽子やエプロン、靴下などに生まれ変わり、その収益は社会福祉協議会へ寄付され、地域の福祉に還元されています。

左から野口栄子さん(八千草会現代表)、糸木良恵さん(あやめ会現代表)、奥村淳子さん(あやめ会前代表)、安藤晴美さん(八千草会前代表)

半世紀続く手仕事の助け合い

「手作りボランティア」は、国立市ボランティアセンターの呼びかけをきっかけに発足した。

寄付のためのおむつ製作を軸に活動していたが、現在は市民から寄せられる布や毛糸などを使って、メンバーそれぞれの得意をいかし、個性豊かな作品づくりに発展した。

1975年にあやめ会が発足し、1984年には八千草会も加わり、最盛期は市内に6グループあったが、現在はこの2グループが活動を続けている。

2014年には、長年にわたる活動が認められ、市民表彰を受けている。

「40年ほど前は子どものグッズがよく売れました。どんなものが求められているか、みんなで話し合いながらアイデアを出すのも楽しい時間です」
とあやめ会前代表の奥村さん。

あやめ会前代表の奥村さん。市報の募集を見てあやめ会に参加

「パンダ人気があった時代は、パンダのぬいぐるみもよく売れましたよ」
と話す八千草会前代表の安藤さんは、ぬいぐるみづくりの名人だ。

安藤さんが作ったぬいぐるみ

最近人気があるのは、リバーシブルの帽子やニットの衣類。帯地で仕立てたお雛様など、季節の小物も喜ばれている。抱っこ紐を収納する布ケースもヒット商品だという。

時代によって売れるものが変わるが、その変化をメンバー同士の話し合いの種にして、寄付につながるようにと日々手を動かしている。

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ニットの衣類と小物。お手玉やお雛様は、お孫さんのために買っていく人も多いという

得意を持ち寄り、教え合う

あやめ会・八千草会には、決まった講師がいるわけではなく、それぞれが得意なことを持ち寄り、ときに教え合いながら作品を仕上げていく。

「手芸が好きな仲間が集まっているので、それぞれが作品づくりで工夫した点や苦労した点を語り合いながら、楽しく活動しています」
と話すのは、あやめ会現代表の糸木さん。

糸木さんのリバーシブル帽子はこれまで600個も売り上げている看板商品

あやめ会に受け継がれてきた技のひとつが、ストッキングと毛糸を使った靴下だ。

ストッキングを糸のように割いて、毛糸と一緒に畳の目のように編み上げていく。先輩から後輩へと大切に受け継がれてきた、この会ならではの伝統技法だという。

ストッキングを織り交ぜることで耐久性もありよりあたたかい。毛糸の配色やデザインはメンバーの個性が出る

月2回の活動日以外は、それぞれ自宅で作業を進める。

「手を動かすのは生活の一部。時間ができたらすぐつくれるように、手に取れるところに作業途中のものを置いています」
と語るメンバーのみなさん。

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活動日の様子。おしゃべりやお昼休憩を挟みながら、楽しく活動している

年に一度、市民から寄せられた材料を分ける「分配日」は、一日がかりの大仕事。

材料を手に取りながら「毛糸はこちら、エプロン用の布はあっち」「これで何をつくろうか」と話が弾み、にぎやかに作業を進める。

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分配しきれないものはバザーなどでつめ放題の「おすそわけ市」に

こうした作業やアイデア出しを経て、長い間たんすの奥で眠っていたものが、手作りボランティアのみなさんの手によって新しい形に生まれ変わり、誰かの元に届いていく。

布や毛糸、ボタンなどの小物などたくさんの手芸品が集まる

「買ってくださる方もボランティアの仲間です」

完成した作品は、福祉会館のショーケースでの常設販売のほか、市民福祉バザーなど年に数回のイベントでも販売される。

収益は全て社会福祉協議会へ寄付され、福祉事業に役立てられている。令和7年度の寄付額は43万4520円にのぼった。

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「私たちの作品は、買っていただくことで、はじめて福祉に役立てることができます。作品を買ってくださる方も、ボランティア。私たちの活動の輪の大切な一員です」

手に取った一点が、福祉を支える一歩になるのだ。

困っている人がいるなら

長く活動を続けてきた中で、忘れられないエピソードがある。

東日本大震災の直後、福祉会館の体操に通っていた人から、陸前高田の子どもたちの通学バッグが津波に流されたと聞いた。「それなら私たちが作ろう」と、メンバーは力を合わせ、手提げバッグを100個ほど縫い上げた。

白いシャツを使って、名前が書き込めるようにするなど、工夫を凝らしたものもあったという。届いた先の学校からは、感謝のお礼状が届いた。

仮設住宅での暮らしが落ち着いてきた頃には、「手を動かす時間があった方が気が紛れていいのでは」と、毛糸や布などの手芸材料も被災地へ送った。

向こうからも、手作り品や写真入りの便りが届き、遠く離れた土地との交流が生まれた。

「困っている人がいるって聞いたら、みんなで手を動かす。それが私たちにできること」

半世紀近く続く活動の根っこには、誰かのために手を動かすという想いがある。

これからも一針に心を込めて

八千草会の初期から知っている野口さんは、こう当時を振り返る。

「メンバーの自宅にご近所さんで集まって活動していた時期もありました。さまざまな事情で途中離れる人もいますが、また時間ができれば戻ってきてくれる。好きなことをみんなで集まって楽しんで、ここまで続いているのはすごいことですね」

活動する顔ぶれやつくる作品が少しずつ入れ替わりながら、変わらず続いてきたのは、目の前の一針に心を込めるという想いだ。

誰かからのおすそ分けが、誰かの手で新しい形に生まれ変わり、また次の誰かの元へ届いていく。そんな小さな循環を、手作りボランティアはこれからもつむいでいく。

手芸が好きな人、興味がある人は、ぜひ手作りボランティアへ。買うことで貢献したい人も、バザーや常設販売にぜひ足を運んでみてください。

手作りボランティア

【あやめ会】
活動日:毎月第1・3木曜日
時間:午前10時〜午後3時
場所:くにたち福祉会館和室(大)

【八千草会】
活動日:毎月第2・4木曜日
時間:午後1時〜午後5時
場所:中防災センター

お問合せ:042-575-3223(国立市ボランティアセンター)

参加してみたい方は気軽にお問い合わせください。

※手芸材料のご寄付は決まった時期のみ承っています。次回寄付は来年夏頃を予定しております。

市民福祉バザー

日時:11月29日(日)午前10時~午後3時頃(予定)
会場:くにたち福祉会館
※当日は混雑の為、整理券を配布いたします。詳しくは、まごころ11月号をご確認ください。

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電話:042-575-3223
メール:kvc@kunitachi-csw.tokyo

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