特集シリーズ「今日も元気で」 2025年9月1日 vol.20

親子で安心して集える場所を 〜子育て広場「かるがも」25周年〜

親子で安心して集える場所として誕生した子育て広場「かるがも」。ベビーマッサージや手遊びを楽しみながら、親も子も肩の力を抜いて過ごせるこの場所は、スタート当初の「お母さんに寄り添う憩いの場でありたい」という想いに支えられている。

インタビューに応じてくれた現部長の小林明美(はるみ)さん(中央)、元部長の中村孝子さん(左)、元部長・現役部員の清水あけみさん(右)

子育て広場「かるがも」誕生

「かるがも」は国立市内でいち早く始めた子育て広場。前身は社会福祉協議会の婦人母子部会の子育て事業だった。

2歳未満の子どもとお母さんが、気軽に足を運べる場所をという取り組みで、2000年10月から、お茶やお菓子を囲んでおしゃべりをする集まりがスタートする。

現「かるがも部会」の部員の皆さん

その後参加者が増え、くにたち福祉会館2階の大広間が会場となり、のびのびと子どもを遊ばせられるように。そして、 2001年4月から、専門の先生の指導のもと、ベビーマッサージや手遊びを取り入れた。

ベビーマッサージの後は大型絵本の読み聞かせ

スタートを支え、部長も勤めた中村孝子さんは「当時は乳幼児向けの広場がほとんどなかったので、大勢の親子でにぎわいました」と振り返る。

「かるがも」のはじまりは、まだ遊べる場所が少ない小さな子どもたちとその保護者の支援から生まれた活動

「かるがも」という名前は、親がもの後を小がもが一列になってついていく姿に由来する。当時テレビや新聞でかるがもの親子の映像が取り上げられていたこともあり、家族の絆や子育ての営みを重ね合わせ、親子が安心してつながれる場であってほしいという願いを込めて名付けられた。

運営する部会も婦人母子部会から「かるがも部会」となり、民生・児童委員を中心に、子育てがひと段落した市民も部員として活動している。

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和やかな雰囲気で楽しむ参加者と部員

「赤ちゃんに会えるのが楽しみ」と、部員たちも毎月第2火曜を心待ちにしている。

里帰りしたように、ゆったり過ごしてほしい

まずは受付をすませ、赤ちゃんは座布団にゴロン。お母さんたちがストレッチで肩の力を抜いたあと、ゆったりとベビーマッサージが始まる。赤ちゃんもお母さんもリラックスしながら体を動かし、自然と会話や笑顔が広がる。

みんなでストレッチ。子育て中は抱っこやたくさんの荷物を持つことも多いので、こりがちな肩をほぐす

ベビーマッサージの伊勢谷真記先生の相棒は「たかこちゃん人形」。中村さんにちなんで名付けられ、「かるがも」のマスコットとして大事にされている。

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赤い洋服が愛らしい“たかこちゃん人形”。久しぶりの再会に中村さんも笑顔

やさしくマッサージしているうちに寝てしまう子がいたり、お腹が空いてぐずり出す子も。

そんなときはちょっと休憩して、思い思いに過ごす。

部員が赤ちゃんに手渡すのは身近な材料で作った手作りのおもちゃ。クリスマス会では、こうしたプレゼントをサンタクロースが届けるのが恒例になっている。

部員手作りのおもちゃ

60畳の大広間なので、自宅ではなかなか遊べない手押し車が人気。「かるがも」ではじめて歩いた!なんて場面に何度も遭遇してきたという。

“カタカタ”の愛称で親しまれる手押し車。子どもたちの一歩を見守り続けてきた存在

ここに集まるのはまだ寝返り前の赤ちゃんや、ハイハイする子に歩き出しそうな子。2歳未満といっても、月齢によってずいぶん違う。

「もうすぐ立ちそう!」「夜泣きが続いて大変…」そんな声にうなずき合いながら、月齢の違う子の少し先の姿に安心したり、誰かの経験に励まされたり。

子育て広場の先駆けとなった「かるがも」。部員たちは各地での支援の広がりに期待を寄せる

「親の心のゆとりは子にも伝わる。少しでもホッとできる場になれば」と話すのは清水あけみさん。

清水さんは部長を勤め、現在も部員として活動している。「かるがも」以外にも、自身で立ち上げた「東のポッポひろば」を東福祉館で開催している。

「それぞれの住まいから、歩いて行ける距離に心の拠り所があるといい。夢中で駆け抜けた自分の子育てを思い返し、今はお母さんお父さんを支えたい一心で続けています」と話す。

かわいい手形・足形のアート。四季折々の絵柄で、参加者へのプレゼントに

時代や環境の変化、コロナ禍を越えて

スタートから数年は50組を超える親子が集まったが、さまざまな施設ができ、共働きの家庭も増えていく中で、「かるがも」も変化していく。

現部長の小林明美(はるみ)さんは市内の子育て環境の変化、またコロナ禍に直面してこう話す。

「新しい施設ができ、保育園に入るお子さんも増える中で、ここで続けていく意義は何だろう?と考えたこともありました。でも、コロナ禍のピンチを乗り越えて、活動を続けてきてよかったと思います。
 “リモートかるがも”では、参加者の方々がスムーズにパソコンやスマホからアクセスして、ベビーマッサージや童歌を楽しみました。大広間での再開は、人数制限を設けた予約制でしたが、待っていてくれた人がいることを実感できました。
 小さな子どもを育てていると、なかなか予定通りにはいかないので、気軽に立ち寄れるいつもの『かるがも』の再開を望む声も励みになりました」

コロナ禍の取り組みを思い起こす小林さん

参加者はもちろん、部員の安心安全を守りながら、活動を続けていくのは試行錯誤の連続だったという。

「ゆったりと過ごせる“かるがもらしさ”、小さな声に耳を傾ける“かるがもらしさ”。それがこの場の雰囲気を作っている。必要としてくれる人がいる限り、続けていきたい」と小林さん。

「続けていくってことが大事。25年もの間、こうして想いを引き継いでくれてうれしいです。子育て中のお母さんお父さんに『大丈夫よ』と、寄り添い続ける場であってほしいわね」と隣で中村さんもうなずく。

安心して過ごせる場をこれからも

「かるがも」は、実家に帰ったような安心感がある一方で、時代に合わせて学びを重ねてきた部員たちに支えられている場でもある。

民生・児童委員として地域に関わってきた経験に加え、勉強会を通じて新しい子育ての知識を取り入れているため、利用する親子にとっても信頼できる存在だ。

「長年子育て世代を見守ってきたからこそ、『昔は良かった』ではなく、『今の子育て』が時代とともに変化していることを実感しています。お父さんの参加が増えたのも大きな変化。
 子どもの成長を間近で感じられることは何よりの喜びで、その経験や思い出を夫婦で共有したいという意識の広がりを感じています」と小林さんは語る。

おうち時間とはまた違う、親子の心地よい時間

25年にわたり、子育て中の親子とともに歩んできた「かるがも」。ここで過ごした人が、今度は部員として戻ってくることもあるという。そんな「里帰り」も大歓迎!

「かるがも部会」の一員として、親子が安心できるひとときを一緒に育んでみませんか。

子育て広場「かるがも」

事前予約は必要ありません。当日お気軽にお越しください。(※10月と12月のイベントは事前予約が必要)

日時:毎月第2火曜日 10時~12時
場所:くにたち福祉会館2階 大広間
問合せ:総務企画係 042-575-3226


【かるがも周年記念イベント】
「親子でバレエストレッチ&楽しくダンス」
日時:2025年10月14日火曜日
午前10時〜12時
場所:くにたち福祉会館2階 大広間
講師:塩野 絢子(しおの あやこ)氏
申込:事前申込必要 9月9日午前9時より上記の問合せ電話より受付開始
定員:20組(定員に達し次第締切)

12月のイベントも近づきましたら、詳細を広報紙まごころ等でお知らせいたします。

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