ここでは料理をつくって食べて、好き嫌いも食べる量も自分で決める、無理をしなくていい場所。長期休みや休日に、子どもたちの食と学習を支援しています。
「自分でできた」が生まれる場所
リットウキャンプは、放課後や長期休みに子どもたちが安心して過ごせる場所をつくるため、代表の宮﨑さんが2022年からはじめた取り組み。主な活動場所は北地区にある立東福祉館と北福祉館。
「リットウ」は地名の立東から、「キャンプ」は一つ屋根の下で共に学び遊ぶ場という意味から名づけられた。非日常だけれど、同じテントで一緒に楽しもうという想いが込められている。
子どもたちへの食事の提供や、宿題に取り組む時間、習字や遊びの場づくりなど、さまざまなボランティアの方が運営を支える。
食事は用意されたものを食べるだけではなく、「家にいるときでも自分でつくれる子になってほしい」という想いから、つくることから体験する機会も大切にしている。
北福祉館では調理室と和室を借りて開催
ある日のメニューはタコライス。キッチンカーのシェフが教えに来てくれた。
「タコライスって、難しいと思ったけど自分でつくれてうれしかった。ここでつくった中で一番のお気に入り!」
とうれしそうに話してくれた子がいた。
またある日は、8種類ほどの具材を並べたビュッフェ形式のおにぎり。好きなだけ具材を詰め込んで、片手で持てないほど大きなおにぎりをつくる子もいた。
「毎月いろいろな人がお手伝いに声をあげてくれる」と宮﨑さん。それだけ、活動の輪が地域に広がっている
「ここは学校でも家でもない場所なので、せっかくなら楽しんでもらいたいと思っています。食べ残しを申し訳なさそうに持ってくるのも違うかなと思って。『いらないものはいらないって言っていいよ』『どのくらい食べるか自分で決めていいよ』というスタイルにしています」
と宮﨑さん。
寿司パフェの日。パタパタご飯をあおぐ酢飯づくりの様子
初めて包丁を持って、おっかなびっくり野菜を切った子もいた。そばで見守りながら一緒にやってみると、次の回には自分から包丁を持って、「できるようになったよ!」と披露してくれるように。
「ちゃんと説明すれば、子どもってできるんですよ」
宮﨑さんは、「ママたちの応援もしたい」という想いもあって、子ども自身にできることを増やしていきたいと考えている。
好きな具材を詰め込んだ寿司パフェ
立川から国立へ
宮﨑さんの活動の出発点は、2015年に立川市西砂町で始めた子育て支援活動だった。
新興住宅地として開発が進み、知り合いもいない土地で子育てを始めた母親たちが孤立していく姿を見て、団体を立ち上げた。
転機はコロナ禍。立川での活動の中で取ったアンケートで、仕事や収入の状況が変わり、母親たちが食事に困っているという実態が見えてきた。
ちょうど自身の子どもが小学校に入学した時期と重なり、宮﨑さんは自分の暮らす国立のエリアとの関わりも増えていた。
「うちのエリアは駅から少し離れているので、習い事に通いづらい子どもが多いと感じていました。子どもたちに経験の機会をつくれたらという想いがありました」
さらに長期休みに学校が開放されなくなり、子どもが安心して過ごせる場所づくりがますます必要だと感じるように。夏の暑さが厳しくなっていることもあり、夏休みにエアコンの効いた室内で大人の見守りの中過ごせる環境が必要だと考えた。
こうして、国立市の「子どもの居場所づくり事業補助金」も受けながら、リットウキャンプの活動が始まった。
長期休みに年上の子が、下の子のお世話役になっている家庭もある。少しでも地域の大人が関われる場所があればと宮﨑さん
地域で循環するつながり
リットウキャンプの食材は、なるべく地元の農家や飲食店から仕入れている。
「いただいた補助金を、自分たちで使いやすいものに使うだけだと、地域の中でうまく回っていかないと思うんです。地域のお店に使うことで、地域が潤って、子どもたちも地元とつながりを感じてくれる。そういう循環をつくりたいなと思っています」
食材だけでなく、パン屋さんやお弁当の仕出しを行うお店なども、地域に根づいたお店を意識的に利用してきた。子どもたちが家に帰って、お店の話を家族にすることもあるという。
「共働きのご家庭だと、日中の地域の様子ってなかなか分からないんですよね。子どもたちをきっかけにご家族も地域を知ってくれたらいいなと思っています」
キッチンカーのシェフや書道の先生、地域で活動するボランティアの方や学生たちも、それぞれの形で関わってくれている。
キッチンカーのシェフがサンドイッチを教えてくれた日の様子
「美容院で何気ない会話をしていたら、手伝いたいという人がいて」。そんなきっかけから人が増え、調理を手伝ってくれる人、遊びを教えてくれる人、見守りをしてくれる人など、関わり方もさまざまだ。
地域の福祉会館も、こうした活動を後押ししてくれている。利用者が少なかった会館が、大勢の子どもたちでにぎわう場所になり、管理を担う方たちも協力的に場所を使いやすくしてくれているという。
身近な人から広がる
国立での活動は今年で5年目を迎えた。立川での活動は11年目になる。
宮﨑さんには、今でも思い出すエピソードがあると話してくれた。
「学校で過ごしづらさを感じていた子がいて。それでもここに来るのを楽しみにして、雨の日も欠かさず来てくれていたんです。『一人でも来てくれるならやろう』って思いながら活動を続けてきました」
その子が6年生になると、料理の準備から下の子の世話、片付けまで、何も言わずに率先して動いてくれるようになっていた。小学校を卒業してからは、新しく入った1年生の子から「一番大好きなお姉ちゃん」といわれるほどになったという。
「『いつも子ども食堂ありがとうございました』というお礼状をもらったとき、5年間続けてきたことが報われた気がして、とてもうれしかったです」
と宮﨑さんは振り返る。
最初はお母さんと一緒に来ていた子が、いつのまにか一人でも参加するようになる。学校で友達を誘ってきてくれる子もいて、子どもが子どもを呼ぶ場になっていった。
「半径数百メートルの人をまず幸せにできないと、大きなことは言えないと思っていて」
身近な人に丁寧に向き合い、一つひとつ積み重ねてきた5年間が、子どもたちの「また来たい」という声につながっている。

リットウキャンプ
開催前に近隣の小学校へチラシを配布しています。食の支援は当日受付です。お気軽にご参加ください。活動の詳細・最新情報はインスタグラムをご覧ください。
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