「子どもたちの驚いた顔、ありがとうの一言がとてもうれしいです」と話すのは、バルーンアートやマジックのボランティア活動をしている中村文男さん。バルーンを巧みに操り、地域に笑顔を届けます。
人見知りを克服するために
元々、人見知りを克服したいという思いから、会社員時代にマジックを始めた中村さん。
「今の姿からは想像できないと言われますが、本当に人見知りだったんです。『このままじゃいけない』と思って、いろいろなことに挑戦しました」
人前に出る機会を自らつくり、少しずつ人見知りを克服していった。皿回しや南京玉すだれを披露したこともあるという。

小学校4年生の時、新潟から東京に引っ越してきた。「方言にコンプレックスを感じ、それが人見知りのきっかけになったのかもしれません」と中村さん
マジックはプロのマジシャンのもとで15年ほど習い、バルーンアートよりも先に、介護施設でのボランティアで披露していた。
「施設で喜ばれたのは、物が消えたり、パッと変化したり、わかりやすいマジックです。あとは世間話や昔話。『あの利用者さんは、中村さんとおしゃべりするのを楽しみにしているんですよ』と言われることもありました」
ある時、マジックの合間につくったバルーンアートが喜ばれたことから、その楽しさに目覚め、バルーンアートの練習をはじめた。
「バルーンをはじめてから、子どもやその保護者の方とも交流できるようになって、地域とのつながりが広がりました」

「くにたちバルーンアート you・遊」の活動
2013年、ボランティア養成講座で出会った仲間たちと「くにたちバルーンアート you・遊」を立ち上げた。
グループ名はメンバーで話し合って決めた。『 you・遊』には「一緒に楽しく遊びましょう」という意味が込められているそうだ。
メンバーの入れ替わりもありながら、現在は8名で活動を続けている。地域のイベントでバルーンを子どもたちに配ったり、飾り付けをしたり、年間を通して依頼が絶えないという。
「国立旭通りジューンフェスタ2025」出店の様子
バルーンアートを通じて感じる最大の喜びは、何と言っても「笑顔をもらえること」。子どもたちが目の前でつくられるバルーンを見て驚き、笑顔になる瞬間。その反応が、中村さんにとって最大の励みになっている。
「イベントで『 you・遊』の活動を知って、私もバルーンアートをつくりたいと思って参加を決めました。バルーンを見て喜ぶ孫の姿を見て、たくさんの人を笑顔にできるおばあちゃんになりたいなって」と、メンバーの一人は語る。

作り手と受け手のどちらも楽しめて、喜びを分かち合えるバルーンアート。小さい子どもでも手に取れる気軽さも魅力
毎月の定例会では、メンバー同士で新しい作品を披露したり、教えあったり、和やかに活動している。
「はじめはバルーンが割れるのが怖くて、なかなかひねることができない人が多いんですが、実は意外と割れないものですよ」

メンバーは国立市内だけでなく、近隣の市からも集まっている
「活動を続けていくうちに、最初は話すのが苦手だったメンバーが、子どもたちとの会話を楽しんでいる姿を見るようになりました。もちろん技術の向上も大切ですが、交流や笑顔が増えるのはうれしいことです」
かつての自分が人見知りを克服したように、バルーンアートを通じてメンバーが変化する姿も、中村さんにとって大きなやりがいの一つだ。
「ちょっと得意」を活かして地域へ
「いろいろなことをやってきましたが、極めたものばかりではなくて、人よりほんの少し得意なことがほとんどです。ちょっと得意なことが一つでもあれば十分ではないでしょうか」
イベントで素早くバルーンをつくれるようになるまでは、根気よく練習が必要。しかし、基本を覚えれば、応用でいろいろな動物やモチーフをつくれるようになるという。
何事も最初の一歩は大きな一歩に感じるけれど、踏み出すことで道が開けていく。
「人のために、見返りを求めずというのは、大変なこと。やっぱり自分自身が楽しいと思えることが一番です。自分が楽しいと思えることで、誰かが喜んでくれる。それが地域のためになるならば、こんな嬉しいことはありません」
中村さんの活動は、人見知り克服から始まり、子どもたちや地域の人々に笑顔を届けることへとつながっていった。「バルーンのおじさん」として地域の人々に親しまれる存在となり、これからも得意を活かして楽しみながら輪を広げたいという。
「何か新しいことを始めたいけど、きっかけがない方は、ぜひ『you・遊』へ」


くにたちバルーンアート you・遊
参加したい方はお問合せください。
【日時】毎月第2水曜日
【場所】くにたち福祉会館
【お問い合わせ】国立市ボランティアセンター 042-575-3223
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